日本酒と聞いてどんなイメージを持ちますか?
「難しそう」「種類が多そう」「どれを選べばいいか分からない」そう思っていませんか?
でも、実は日本酒はとっても自由で奥深い飲み物です。特に、日本酒と料理の組み合わせ方、「ペアリング」を知れば、その楽しさは何倍にも膨れ上がります。
今回は、日本酒初心者の方でも簡単に理解できる、日本酒のペアリング方程式を伝授します。
この方程式さえ知っていれば、あなたも今日からペアリングの達人です!
そもそも「ペアリング」って何?
「ペアリング」という言葉を初めて聞く方もいるかもしれませんね。
ペアリングとは、「お酒と料理の相性を考えて組み合わせること」です。これは、まるでファッションコーディネートのようなもの。
自分に似合うジャンルの服を組み合わせておしゃれに見せるように、日本酒と料理を組み合わせて、お互いの良さを引き立て合い、もっと美味しく、もっと楽しくすること、それがペアリングです。その場の気分や好みに合わせた美味しい体験を作り出します。
まずは日本酒4つのタイプを知ろう!
ペアリングを始める前に、まずは日本酒をざっくりと理解しましょう。日本酒はその香りや味わいによって、大きく4つのタイプに分けられます。
分かりやすく、料理の味付けのような分類に例えることができます。
- 甘口でフルーティーな味付け(薫酒)
- さっぱりとした塩味の味付け(爽酒)
- 出汁の旨味が効いた味付け(醇酒)
- 濃厚で複雑な味付け(熟酒)
それぞれの味付けに合う食材や調理法があるように、日本酒にもタイプによって得意なペアリングがあります。こちらの日本酒4つのタイプを頭に入れれば、もう準備はバッチリです。
失敗しないペアリング方程式「同調」と「補完」の法則
さて、いよいよペアリングの本題です。
日本酒と料理の組み合わせ方には、2つの基本的な考え方があります。
それが、「同調」と「補完」です。
これは、まるで恋愛における相性診断のようです。趣味や性格が似ている者同士が惹かれ合う「同調」と、お互いの弱点を補い合う「補完」があります。
この2つの法則を覚えておけば、ペアリングはもう怖くありません。
法則1「同調」 似た者同士は惹かれ合う
これは、日本酒と料理の「香り」「味わい」「質感」と合わせる方法です。
例えば、フルーティーな白ワインに似た薫酒には、同じくフルーツやハーブを使った華やかな料理を合わせるのがおすすめです。
想像してみてください。甘くて華やかな日本酒に、メロンと生ハムを合わせる…まるで口の中で、甘い香りと塩味が心地よくダンスしているようです。
薫酒(フルーティーな香り) フルーツ(メロンや桃)、生ハム、白身魚のカルパッチョ
また、米の旨味がしっかりと感じられる醇酒には、同じく旨味の強い煮物や照り焼きがぴったりです。熱々の肉じゃがを一口食べ、そこに醇酒を一口飲むと…、口の中に広がる旨味と旨味が、まるで手をつないでいるかのように調和します。
醇酒(米の旨味) 肉じゃが、焼き魚、照り焼き
- フルーツ(桃など)
生ハム
白身魚のカルパッチョ
- 肉じゃが
焼き魚
照り焼き
法則2 「補完」お互いの良さを引き立て合う
これは、日本酒と料理の「味」や「香り」で、お互いの足りない部分を補い合う方法です。
想像してみてください。あなたは今、こってりとした鶏の唐揚げを食べています。口の中が脂っこくなってきた…。そんな時、キリッと辛口な爽酒を一口飲んでみてください。揚げ物の油をすっと洗い流し、口の中をリセットしてくれます。
爽酒(スッキリ辛口) 揚げ物(唐揚げ、天ぷら)
まるで、暑い日に冷たい風が吹き抜けるような爽快感! これが「補完」の力です。
また、塩辛い料理には、甘口の日本酒がおすすめです。例えば、塩辛を肴に日本酒を飲むと、塩辛のしょっぱさが日本酒の甘みを引き立て、日本酒の甘みが塩辛の塩辛さを和らげます。このバランスが、たまらなく美味しいんです。
甘口の日本酒 塩辛い料理(塩辛、漬物)
- 揚げ物
・唐揚げ
・天ぷら
- 塩辛い料理
・塩辛
・漬物
タイプ別ペアリングの具体例
ここでは、さらに具体的に、4つのタイプ別におすすめのペアリングをご紹介します。

- 薫酒
- フルーティーで華やかな香り
- 味わい
- 澄んだきれいな味わいです。比較的軽快なものが多めですが、濃厚な味わいのものもあります。
普段日本酒を飲まない人でも飲みやすいものが多いです。 - ペアリングのコツ
- 香りや甘みが似ている料理と合わせる「同調」が基本。
- おすすめ料理
- フルーツ
メロン、桃、いちごなど
白身魚のカルパッチョ
オリーブオイルやハーブの香りが薫酒と好相性
生ハムとフルーツ
甘味と塩味が絶妙なバランス
チーズ
フレッシュチーズ(モッツァレラ、リコッタ) - 代表銘柄
- 獺祭、十四代、花陽浴、上善如水、磯自慢、黒龍、くどき上手、出羽桜

- 熟酒
- 奥深い香りと味わい
- 味わい
- 濃厚でとろりとした味わいがあります。甘味、ボリューム感のある旨味、力強い味わいです。
個性が強く好き嫌いがはっきりすることが多いです。 - ペアリングのコツ
- 個性の強い味わいを活かし、濃厚な料理やスパイスが効いた料理と「同調」させる。
- おすすめ料理
- うなぎの蒲焼き
タレの濃厚さと熟酒の風味が合う
熟成チーズ
ブルーチーズなど
フォアグラ、レバーペースト
濃厚な味わい
中華料理
酢豚、麻婆豆腐など - 代表銘柄
- 不老泉、義侠 慶、達磨政宗、神亀大古酒、旭興、龍力

- 爽酒
- フレッシュで軽快
- 味わい
- スッキリしていてなめらかです。淡麗でシンプルな味わいです。
クセがなく、さっぱりと飲めるため多くの人に好かれます。 - ペアリングのコツ
- 軽やかな味わいを活かして、淡白な料理と合わせる「同調」や、脂を流す「補完」が有効。
- おすすめ料理
- 刺身
特に白身魚やイカ、タコなど
豆腐料理
冷奴、湯豆腐
天ぷら
サクッとした衣と爽酒がベストマッチ
シンプルなおつまみ
枝豆、おひたしなど - 代表銘柄
- 菊正宗、美山錦、久保田、立山、越乃景虎、伯楽星、阿部勘

- 醇酒
- 米の旨味がしっかりふくよか
- 味わい
- 米の旨味とコクが豊かで充実した旨味を感じます。
しっかりとした味わいです。 - ペアリングのコツ
- 米の旨味とコクに負けない、しっかりとした味付けの料理と「同調」させる。
- おすすめ料理
- 肉じゃが、角煮
煮物全般
焼き魚
脂の乗ったブリやサバ
照り焼き
甘辛いタレと醇酒の旨味が合う
おでん
出汁の旨味が醇酒を引き立てる - 代表銘柄
- 菊姫、神亀、天狗舞、大七、秋鹿、玉川、日高見
結論!ペアリングは「楽しむこと」が一番大事
今回、ペアリングの基礎知識と方程式をお伝えしましたが、一番大切なのは、「自分の好き」を見つけることです。
ここで紹介した方程式はあくまでガイドライン。
例えば、「このお酒には、意外とこの料理が合うんじゃないか?」そんな風に、自由に試してみることが、ペアリングの醍醐味です。
そして、日本酒のペアリングに正解はありません。
あなたが「美味しい!」と感じた組み合わせが、あなたにとっての最高のペアリングです。
これを読んで、少しでも「日本酒を飲んでみたい」「ペアリングに挑戦してみたい」と思っていただけたら嬉しいです。
さあ、あなたも今日から、最高のペアリングを探す旅に出かけましょう!