「茶屋しゃんりん」夏 第一夜:桂九ノ一
イベントレポート

茶屋しゃんりんとは

春夏秋冬、月曜の夜に出現する「茶屋 しゃんりん」。

週のはじまり、一日の締めくくりに、ちょい飲みちょい食べしながら、さまざまな演芸を楽しめる場所です。毎回、日本酒と野菜料理を愛する野良ちりん によるドリンクとフードをご提供するとともに、さまざまなゲストによる舞台をお楽しみいただきます。

そんなコンセプトを掲げ、イベントを主催するのは、
様々な文化や人や好きという気持ちを「つなぐ」在野企画家でデラシネ席亭の「本屋しゃん」

記念すべき、第1回目のゲストは落語家の桂九ノ一さんです。

会場に到着、一杯目のお酒

1930分に会場であるアーリーバード・アクロスに伺うと、20人ほどが着席できるホールに半分ほど人が集まっていました。着席すると、まず、前菜の枝豆料理が運ばれ、厨房にいる「野良ちりん」さんに日本酒のおススメをお願いするとの出てきたのは狩場一酒造のうすにごり「カエルの寝床」。
しゅわしゅわとしたきめ細かな泡とほのかな甘みが感じられ、もわっと蒸し暑い初夏の夜にはピッタリな爽やかな味わい。

[狩場一酒造・カエルの寝床、イラストがかわいい]

そんな日本酒と一緒にいただくのは、枝豆の塩ゆでと枝豆のゼリーよせ。
枝豆の塩ゆでは、程よい塩味の後に、しっかりとした歯応えの豆を噛めば噛むほどにさわやかな旨味が感じられる一品。こんなうまい枝豆は食べたことない!
枝豆のゼリー寄せを口に運ぶと、滑らかな舌触りの後、少し粗く裏ごしされた豆の食感を楽しむことができ、旨味と爽やかな甘みが口の中を充満し、豆の香りが鼻に抜けます。枝豆だけでこんなに甘くなるのかと驚かされる味わいでした。
厨房の「野良ちりん」さんに伺うと、歯ざわりを感じられるように、あえて粗くこしているそうです。

[枝豆の塩ゆでと枝豆のゼリーよせ]

この枝豆は、本イベント主催者である「本屋しゃん」の地元新潟から、地元で消費され東京には出回らないものを直送しているということもうなずける味わいでした。

そんなおいしい料理と日本酒を楽しんでいると、続々とお客さんが集まり、会場全体が桂九ノ一さんの登場を待ちわびていました。

[高座とめくり]

いよいよ落語がはじまる!

出囃子が鳴り桂九ノ一さんが高座に上がり、第一声から会場に響き渡るはきはきとした声に圧倒されました。
今日大阪から東京に来たという九ノ一さん。この日は、東海道新幹線が名古屋・浜松間で一日中運転を取りやめていたため、新大阪から、北陸を経由し、“日本海を見て”、東京にやってきたとのこと。そんな話を流暢におもしろおかしく話し、会場はすでに九ノ一さんの空気になっていました。

[高座での桂九ノ一さん]

演目がはじまり「へっつい盗人」が披露されました。
登場人物の演じ分けと仕草だけで、時代も場所も違う噺の舞台の情景が浮かんできて、落語を生で見る筆者は、小気味よいリズムで畳みかけられる言葉にのめりこみ、心酔しているうちに、演目が終わっていました。

日本酒と料理を追加注文

休憩中には、冷やし雷豆腐と秀月の特別純米酒のお燗を注文しました。
冷やし雷豆腐のしっかりとした旨味ときりっとしたショウガの味わいに対し、秀月のやわらかい酸味とお米の旨味が負けていません!

[冷やし雷豆腐と秀月の特別純米酒]

「野良ちりん」さんは、昨年まで野菜と日本酒専門店 ちりんの店主を務めていましたが、“野良”となり各所で御燗番や出張料料理人として、お燗酒の在る時間と空間を主役に様々な宴を企画しています。彼の創る料理は田舎の畑仕事の後に並ぶ料理と、古き良き本醸造酒や純米酒が並ぶ食卓をモットーとしているため、盛り付けに特にはこだわらず、「茶色い」料理や旬の野菜を使った料理にこだわりを持っているとのこと。日本酒のラインナップを見てもモットーが感じられます。

[左:日本酒のラインナップ、右:ステッカーまみれの酒燗器]

演目「青菜」と柳蔭

再び出囃子が鳴り、九ノ一さんが再び高座に上がります。

二つ目のお噺は「青菜」という演目
このお噺のなかで、暑気払いとして「柳蔭」を井戸水で冷やして飲むというシーンがありました。柳蔭について、イベント後に聞いてみると、みりんに焼酎を混ぜたもので、井戸水で柳蔭を冷やして飲むのはかなりの贅沢だったそう。
現在でも、岐阜県の白扇酒造が柳蔭を製造しているそうなので、冷やして飲んでみようと思います!

日本酒×落語

たまに落語を見に行くというお客さんに話を聞くと、お酒が入って少し酔った状態で落語を聞くことで、感情が豊かになっている分、より感情移入でき、より笑えるとのことでした。

九ノ一さんにもお話を伺うと、やはり、お酒を飲んでいるのでお客さんの表情が朗らかで、反応がよく、話す側としてもやりやすかったとおっしゃっていました。
また、500人収容の会場で20人のお客さんを相手するよりも、20人収容の会場で20人のお客さんを相手する方が、会場との一体感が生まれやすく、直接目を見て話ができるらしく、今回の会場はまさに後者に当てはまり、話してても楽しかったとのことでした。

茶屋しゃんりん は春夏秋冬、月曜の夜に出現します。
次回は「茶屋しゃんりん 秋 」の開催が予定されています。是非お楽しみに!

「茶屋しゃんりん 秋」第二夜 春風亭弁橋
https://tokyo-sake-calendar.com/event/202410-003
日 時:2024年10月21日(月)  19時開場・20時開演
場 所:アーリーバード・アクロス
木戸銭:2,500円

SNSのご紹介
主催者:本屋しゃん X:https://x.com/honyashan
厨 房:野良ちりん X:https://x.com/dada3701
落 語:桂九ノ一 X :https://x.com/katsura9_1

[左:野良ちりん、中:桂九ノ一、右:本屋しゃん(敬称略)]